奨学生・修了生の声

Voice

日本で身につけた研究の視点を治療に活かし、子どもたちの健康を守りたい

2025年度 奨学生

ド デイン ハイさん

出身:ベトナム
財団在籍:2025年4月~(第22期生)
大学:帝京大学大学院 医学研究科

日本で感じた研究環境と学び方の違い

私は日本に来るまでベトナムで小児科医として働いていました。日本への留学を決めたのは、臨床現場で最新のデータに基づいた治療や病気の解明の重要性を実感し、自身の知識や技術をさらに伸ばしたいと考えたからです。

現在はHOSCNという物質が過剰に作られることによって起こる炎症の仕組みを解明するべく、研究を進めています。この仕組みを理解できれば炎症をコントロールし治療に役立つと考えています。

日本の大学は、勉強や研究に集中しやすい環境が整っている点が魅力的です。実験に必要な機器が十分に整備されているほか、図書館も静かで学習に適した空間となっており、日々の勉強に役立っています。また、先生や研究室の方々と相談しながら研究を進めることができるため、不安はほとんどありません。授業では、自ら調べた内容を発表する機会が多く、わからない点をそのままにせず、根拠をもって説明する姿勢や考え方が身につきました。日本に来て3年目、まだ日本語は上手ではありませんが、医学部の授業は英語で行われるため、不安なく勉強することができています。

日本に来て驚いたのは、日本人の皆さんが非常に礼儀正しく、親切なことです。困っている時に優しく声をかけてもらい、何度も助けられました。また、文化の違いとして印象的だったのは、スケジュールを数ヶ月前から調整する「計画性の高さ」です。私にとっては新しい発見でしたが、準備を徹底することでミスが減り、安心感に繋がるのだと学びました。

長谷川留学生奨学財団との出会いを通じて

日本での生活を支えてくれている大きな存在が、長谷川留学生奨学財団です。2003年に設立され、20年以上にわたって留学生を支援してきた歴史があり、とても安心感がある財団だなと感じました。奨学金をいただけたおかげで、アルバイトをしなくてもよくなり、全ての時間を研究に使えるようになりました。勉強と研究に集中できる環境をいただけたことに、本当に感謝しています。

選考の面接に向けては、大学の先生にも協力していただきながら、自分の想いをしっかり伝えられるよう繰り返し練習しました。最初はとても緊張しましたが、面接官の皆さまが親切で優しく対応してくださったおかげで、次第にリラックスして話すことができました。面接での初対面から現在まで留学生一人ひとりをリスペクトしていると感じ、プロフェッショナルな仕事をしていると感じています。

また、財団を通じた奨学生同士の交流は、私の世界を大きく広げてくれました。いろいろな国から来た学生と繋がれることは、日本での生活を豊かにするだけではなく、将来にとっても非常に価値があることだと思います。交流行事や課外活動を通して日本の文化を深く理解できるだけでなく、多様な文化や考え方に触れることで、学びの幅が大きく広がったと感じています。

留学経験を活かして、次の世代を支えたい

学業以外の目標として、これから海外を目指す後輩や奨学金に応募したい人たちを支援していきたいです。日本に来たばかりの私は、言葉や文化の違いに不安を抱えていました。特に困ることが多かったのが、買い物や役所の手続き、病院など。言いたいことがうまく伝わらないんです。しかし、そこで諦めずに毎日少しずつ日本語を積み重ね、現在は自信がついてきました。

私自身、日本で出会った人々に様々な助けを受けたからこそ、自分の経験を共有し、正しい取り組み方をアドバイスすることで、次の世代の挑戦を支えたいと考えています。

卒業後の進路については、今はまだ最終的な決定はしていません。大学からポストドクターとして研究を続けるお話をいただいていますが、一方で、ベトナムに帰国して国立小児病院での診療を続けることも、私にとっては大切な選択肢です。どちらの道を選んだとしても、この日本で身につけた研究の視点を臨床に活かし、子どもたちの治療に貢献したいという目標は変わりません。

日本で学んだことを活かし、たくさんの患者さんや将来の医療に貢献できる存在になれるよう、これからも努力を続けていきます。